受診案内
キリストの愛と確かな医療をもって心と体のいやしをめざします。
緩和ケア(ホスピス)
診療科のご紹介
ホスピスとは
ホスピスは、積極的治療が功を奏さなくなった悪性腫瘍(がん)などの患者様たちが、安らかで穏やかな日々を過ごせるようにとの思いをもって運営されています。神戸アドベンチスト病院のホスピスは、1992年に兵庫県下初の緩和ケア病棟として厚生労働省の認可を受けて以来、ご利用いただきました患者様やご家族の皆様に多くのことを教えていただきながら長い歴史を歩んで参りました。
ホスピス・緩和ケアの定義
ホスピス・緩和ケアについて、WHO(世界保健機関)は次のように定義し説明しています。
「緩和ケアとは、生命を脅かす病気に伴う諸問題に直面している患者とその家族の生命の質(QOL)を高める取り組みである。それは、疼痛やその他の諸問題、すなわち身体的・精神社会的・実存的問題を早期に識別して、十分な評価(アセスメント)と治療を施すことにより、苦痛を予防し軽減することを通してなされる取り組みなのである。」
入院・在宅・施設の選択
緩和ケアを受けることのできる場は大きく分けて、入院・在宅・施設の3つがあります。
ホスピス病棟に入院される場合は、必要時はすぐに専門スタッフのサポートを受けることができます。住み慣れた自宅での療養を望まれる場合は、外来通院や訪問診療に加えて、訪問看護・訪問介護・訪問入浴などのサービスを利用することができます。また、当院に隣接する「医療特化型老人ホーム シャローム神戸有野台」に入居される場合は、当院ホスピスとの緊密な連携を継続しながら、自宅に近い環境で緩和ケアを受けることが可能です。
私たちは、今までの伝統を大切にしつつ、真心のこもった暖かいホスピス・緩和ケアの提供を目標にして、患者様そしてご家族の皆様と共に歩んでいきたいと願っております。
診療時間・受診方法
ホスピスのご利用条件
- がんそのものの治療が困難となり、がんに伴う苦痛の緩和が必要とされていること
- ご本人が治療困難であることを理解し、ホスピスへの入院を望んでいること(ご家族が本人の希望に同意していること)
- 主治医からの紹介状があること
- ホスピス初診外来(面談)を受診していただくこと
ホスピス初診外来(面談)の流れ
面談の予約
当院ホスピス(入院・在宅・施設)をご利用頂くには、事前にホスピス初診外来(面談)を受けて頂く必要があります。
ホスピス初診外来(★印)は完全予約制です。医療機関で連携して予約をお取りしますので、まずは主治医(かかりつけ医)にご相談ください。
持ち物
- 主治医(かかりつけ医)の紹介状
- CT・MRIなどの検査結果(DVD-Rなど)
- ホスピス初診外来(面談)予約通知書
- マイナ保険証(健康保険資格確認証も可)
来院時間
予約の15分前までに来院し、受付にお名前を申し出てください。ホスピス相談員がご案内いたします。ご本人の来院が難しい場合は、ご家族のみの代理受診でも構いません。
面談
今後の治療・療養について、入院・在宅・施設の選択肢の中から、患者様とご家族様のご希望をお聞きしつつ、病状等を考慮して医師が判断を行います。
【入院が必要と判断された場合】
面談で入院が必要と判断された場合には、待機リストに登録(=入院予約)します。受入れの準備が整い次第、お知らせし、その翌日のご入院となります。面談をした医師が入院時の主治医となります。
【すぐに入院の必要がないと判断された場合】
面談時に今後の流れをご相談させて頂きます。あわせて緊急時の連絡方法等についてもご説明いたします。
診療時間
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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午前 | – | – | – | – | – | – |
午後 | – | ★山形謙二 | – | ★久木田和夫 | ★山形謙二 | – |
休診・代診のお知らせはありません
お問合せ
担当医師 プロフィール
山形 謙二 / Kenji Yamagata
医療は患者様との共同作業です。 患者様に満足し納得していただける医療を目指していきたいと願っております。
役職 |
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得意・専門分野 |
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著 書 |
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受賞/業績 |
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久木田 和夫 / Kazuo Kukita
できるだけ多くの方々に喜んでいただけるような医療を目指していきたいと思います。体調の不良、健康に関することなどお気軽にご相談下さい。
役職 |
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スタッフより、患者様とご家族様へ
がんと診断された時から患者様、ご家族はつらい思いを何度も経験してこられたことと思います。ホスピスでは、患者様の身体や気持ちのつらさを和らげると共に、ご家族にも寄り添ったケアを目指します。痛みやつらさが和らぐことで「あなたがあなたらしく生きていくこと」を全力でサポートいたします。
ホスピスについてわからないこと、迷っていることがありましたらご相談ください。
不安なこと、心配なこと、今のお気持ちなどを伺いながら、ご本人、ご家族と一緒に考えていきたいと思います。
取り扱っている主な疾患・治療
対象となる患者様
ホスピスは、主として苦痛の緩和を必要とする患者様たちが対象となります。私たちのホスピスでは、がんの治癒を目標とした積極的治療(手術・放射線治療・化学療法)は行いませんが、「治せるところは治す(Correct the correctable.)」をモットーに、全身状態を出来るだけ良い状態を保つことができるような治療を心がけております。
私たちのホスピスの特徴
全人的ケアとチーム医療
ホスピスは、がんなど生命を脅かす病気に直面している患者様に対して、全人的視点から、単なる身体的な癒しだけでなく、心や魂の痛みに触れる全人的癒し、すなわち人間存在の全ての領域における苦痛を和らげることを目標としております。
そのような全人的ケアを達成するためには、多職種の専門家の連携によるチーム医療が必要になります。ホスピスでは、医師・看護師、病院付き牧師(チャプレン)・メディカルソーシャルワーカー(MSW)・理学療法士・薬剤師・管理栄養士・ボランティアなどが、合同回診やカンファレンスなどを通して協力しあう、チームとしての医療を心がけております。
特にがんに伴う身体的苦痛(疼痛など)に対しては積極的な緩和ケアを行っています。またリハビリテーションは、ご希望に応じて積極的に行い、可能な限り身体的機能を維持できるように心がけております
スピリチュアルケア
私たちは、ホスピスという環境においてこそ、スピリチュアルケアが重要であると考えております。患者様にとって一番大切なものを尊重しながら「その人がその人らしく生きること」を目標に、どんなに厳しい状況にあっても、患者様たちが最期まで生きる希望と意味を持ち続けることができるようなケアをめざしております。
生命が限られた中にあっても「最善を望みつつ最悪に備える (Hope for the Best, and Prepare for the Worst.)」というケアを目標としております。スピリチュアルケアの一環として、チャプレンを中心として、ご希望の患者様に対し、「ディグニティ・セラピー」(自分の生涯を振り返るライフレビューをしながら手紙を遺すこと)を実践しております。(当院のディグニティ・セラピーについて、2021年7月16日の毎日新聞にて紹介されました)
ご家族との協働
私たちは、ご家族をホスピスにおけるチーム医療の重要なメンバーとして考えており、ご家族の皆様と力を合わせて患者様のケアにあたりたいと願っております。さらにご家族が患者様と穏やかな時間を過ごせるよう、ご家族が料理できるキッチンや、宿泊用の家族室も用意しております。
また、ご遺族の方々へのケアとして、年に1回メモリアル・サーヴィス(遺族会)を開催しております。これは当院ホスピス開設当初から続く集いで、共に食事をしながら故人を偲ぶだけでなく、ご遺族の皆様同士の良き交流の場ともなっています。
シャローム神戸有野台との連携
2020年12月に当院隣接地に開設された「医療特化型老人ホーム シャローム神戸有野台」は、末期がんや難病で医療的ケアが必要な方々のための施設です。ホスピスと緊密な連携をとりながら、ホスピス病棟から退院可能でかつ在宅療養が困難な患者様たちを受け入れております。病状が悪化して入院が必要になれば、いつでもホスピス病棟で受け入れる体制をとっております。
在宅ホスピスの取り組み
「できるだけ長く、住み慣れた自宅での生活を続けたい」という患者様のご希望を叶えるため、訪問診療を行っている近隣の医療機関やクリニックと協力し、在宅での療養と看取りのバックアップを行っています。
患者様の病状や経過をよくご存知である「かかりつけ医の先生」の訪問診療を受けながら、訪問看護・訪問介護・訪問入浴なども利用して、ご自宅での療養を続けて頂きます。急変時や、症状が悪化してご自宅での生活が難しくなった場合には、当院ホスピスへの入院が可能です。入院後に病状が落ち着いた際は、退院してご自宅にお戻り頂くこともできます。退院時には、かかりつけ医の先生に入院中の経過を共有し、自宅療養をスムーズに再開できるよう努めております。
これから訪問診療の利用を始めたいという方には、訪問診療を行っている当院ホスピス協力医療機関をご紹介することもできます。
入院に関するご案内
入院費用
ホスピス病棟での入院費用は医療保険に基づきますので、一般病棟と支払額は同じです。
医療保険適用部分については、限度額適用認定証・高額療養費制度が利用でき、自己負担額は年齢や所得に応じて定められた「限度額」が上限となります。
その他、食事代と実費(紙オムツ代や、有料室の場合の差額室料)は別途必要になります。
お部屋の種類
ホスピス病棟のお部屋は全て個室です。
各室にトイレ・衣類収納ロッカー・ご家族が宿泊可能なソファーベッド・ローテーブルがございます。その他の設備・備品はお部屋の種類によって異なります。
特別個室(1室) |
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【病室内の設備・備品】
1日あたり室料:10,000円(税込11,000円) |
有料個室(9室) |
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【病室内の設備・備品】
1日あたり室料:5,600円(税込6,160円) |
一般個室(10室) |
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【病室内の設備・備品】
※冷蔵庫は1日300円(税込330円)でレンタル可(病室に設置します) 1日あたり室料:無料 |
外出について
ご家族様との外出が可能です。主治医の許可が必要ですので、予定が決まりましたらお早めに病棟スタッフにお申し出下さい。
外泊について
ご家族様の同伴のもとで外泊が可能です。主治医の許可が必要ですので、外泊予定が決まりましたらお早めにお申し出ください。お薬などの事前準備がありますので、必ず外泊の前日までに病棟スタッフにお声かけ頂くようお願いしております。なお外泊は1泊のみとさせて頂いております(2泊以上の外泊は、退院・再入院扱いとなり、各種手続きが必要となります)。
退院について
症状が安定した場合、退院してご自宅や施設(シャローム神戸有野台)にお戻り頂けます。一度他院された後も、必要に応じて再度入院が可能です。退院を希望される方は、なるべく早い段階でお申し出下さい。地域の医療従事者・介護従事者と連携しながら、退院のタイミングを一緒に考えさせて頂きます。
面会について
ホスピス病棟では、面会時間の制限はありません。24時間いつでも面会が可能です。事情により面会をお断りされたい患者様はご相談ください。
病棟の設備について
ご家族様が飲食や簡単な調理に利用できるキッチンが2か所、面会の際にも利用できるラウンジが2か所ございます。
ラウンジではスタッフによる季節の装飾をご覧頂けます。北病棟のラウンジにはグランドピアノが設置されており、小さな演奏会を開くこともあります。またラウンジ内で患者様による作品展を行うなど、外出が難しい患者様に「日常の楽しみ」を感じて頂く機会を提供したいと願っております。
付添について
全てのお部屋にソファーベッドが設置されており、ご家族様はいつでも患者様のお部屋にお泊まり頂けます。タオルケットなどの寝具の持ち込みも可能です。当院から寝具をお貸しする場合は、洗濯代等の実費を頂いております。
また病棟内には、2名まで宿泊可能な「家族室」を2室ご用意しています。家族室を利用された場合も、寝具の洗濯代等の実費を頂きます。
診療実績
ホスピス病棟20床
2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | |
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入院患者総数 | 188 | 167 | 192 | 168 | 197 |
平均在院日数 | 32 | 33 | 29.7 | 27.0 | 28.1 |
お知らせ
ホスピス緩和ケア相談窓口のご案内
「ホスピス緩和医療のことがよくわからない」
「ホスピスへの入院を迷っている」
私たちは、このような言葉を患者様やご家族からお聞きする機会が多くあります。当院ではホスピス相談窓口を開設し、お電話での相談・病棟見学・個別面談をお受けしています。病棟見学・個別面談は完全予約制となりますので、まずはお電話でご希望をお伝えください。
※ホスピス病棟入院患者への配慮のため、予約なしでの見学はご遠慮いただいております。
電話相談受付時間
月曜日~木曜日 9:00~17:00
金曜日 9:00~12:00
※土曜・日曜・祝日はお休みです。
電話番号
078-981-0161
「ホスピスの相談です」とお伝え頂ければ、ホスピス相談員へ電話をおつなぎいたします。