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子宮内膜症

子宮内膜症とは?

女性ホルモン(エストロゲン)の作用により、子宮内膜や類似組織が、子宮以外の臓器(卵巣や腹膜など)で増殖する疾患です。20~40才代の女性の約10~15%にみられます。初経の低年齢化・晩婚化・少子化により、女性の生涯月経回数が増えた結果、近年子宮内膜症は増加傾向にあります。

子宮内膜症は炎症を繰り返して癒着を形成したり、再発や転移をするケースもあります。疼痛や不妊の原因となるだけでなく、卵巣癌の原因にもなりやすいため注意が必要です。

子宮内膜症の症状

月経痛・下腹部痛・腰痛・不妊・過多月経・肛門痛・排便痛・性交痛などがあります。

妊娠・出産への影響

子宮内膜症を発症しやすいのは、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が多い20~40代の女性です。子宮内膜症の患者のうち約30%が不妊の状態で、不妊症患者の25~35%は内膜症を合併しています。

卵巣チョコレート嚢胞

卵巣に発生する、もっとも代表的な子宮内膜症です。月経のたびに内膜症組織から出血し、卵巣が腫れて周囲と癒着していきます。嚢胞の破裂が起きると激しい痛みがあり、緊急手術となることもあります。また、卵巣チョコレート嚢胞は0.72%が癌化すると言われており、40歳以上で10cm以上の大きな嚢胞がある場合は特に注意が必要です。

子宮内膜症の診断

まず問診で自覚症状をお聞きし、内診により子宮後屈や圧痛などの有無を調べます。内膜症組織の大きさや位置、悪性かどうかを確認するため、超音波・MRI・CTなどの検査を行います。あわせて血液検査で腫瘍マーカーを調べます。

子宮内膜症の治療

薬物療法

消炎鎮痛剤等による対症療法、ホルモン療法などがあります。ホルモン療法は、妊娠を望む方には適しません。またそれぞれの薬剤には副作用もありますので、患者様の年齢や状態にあわせて慎重に選択する必要があります。

手術療法

開腹または腹腔鏡で内膜症の病巣を取り除く手術を行います。「内膜症組織の位置や大きさ」「患者様の年齢や妊娠希望の有無」により、手術の方法を選択します。

軽度な場合には、多くは卵巣嚢胞のみを摘出します。レーザー焼灼してエタノールで固定する場合もあります。卵巣機能を温存する手術ですが、術後に卵巣機能が低下したり、内膜症が再発するリスクもあります。
内膜症の進行状態によっては、卵巣+卵管を摘出する場合や、卵巣+卵管に加えて子宮の摘出も必要になる場合もあります。また膀胱や直腸など稀少部位に発生した内膜症については、子宮や卵巣以外の組織切除が必要となるケースがあります。

 

P O I N T

子宮内膜症の治療では、疼痛によって低下したQOL(Quality of Life:生活の質)の改善だけでなく、若年女性では将来の妊娠可能性の温存を、高齢者では早期発見による悪性化予防を重視します。そのためライフステージを見据えての治療方法の選択が必要となっていきます。