キリストの愛と確かな医療をもって心と体のいやしをめざします。
下肢閉塞性動脈硬化症とは、足に血液を運ぶ血管がつまり、血液不足に陥った部分が痛んだり,冷えたり、時には壊疽から下肢切断にいたることもある疾患です。初期の症状は歩行時にふくらはぎが重く痛んできて、数分立ち止まって休むとまた歩けるという症状(間欠性跛行)です。この段階で早く発見して治療することが重要で、単なる筋肉痛として見過ごされている例も多く見られます。
この疾患が怖いのは、急に足先が黒くなり(壊疽)、細菌感染がおこってその傷が治らず、やむを得ず下肢切断にいたることです(重症虚血肢)。血行が悪いために免疫物質が届かずに菌の繁殖を抑えられないためです。さらに、下肢の血管がつまる人は、全身の動脈にも同様の閉塞が生じやすく、心筋梗塞や脳卒中が生じやすい事です。
実際、下肢の閉塞症状を伴う患者さんを調べたところ5年後に15%が亡くなっていたという報告もあります。この予後は大腸癌よりも悪いとされています。 人間にとって「歩ける」ということは意外ととても重要で、下肢が痛んで歩行できなくなると糖尿病やコレステロールの悪化、血管を若々しく保っている内皮細胞の劣化、血栓が生じやすくなるなど、様々な因子がからんで心筋梗塞や脳卒中が増加します。
欧米では下肢と生命の関係を「Legs for Life」とよばれ、伝統的に足病医という専門医も確立されています。
( Am Call Cardiol 2006 )
初期 | 間欠性跛行 (かんけつせいはこう) |
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重症 | 重症虚血肢 (じゅしょうきょけつし) |
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アンプラーグ、アスピリン、エクバール、ドルナー、プレタール、プロサイリン(50音順)
血管内治療とは、肘の内側または太ももの付け根の動脈から局所麻酔下で治療用カテーテルを挿入し、血管の狭窄および閉塞部をバルーン(風船)で広げる治療を言います。
近年、カテーテルやステントなどの進歩により、血管内治療成績が向上し、下肢動脈の太い部分では治療方法の第1の選択肢となる場合も増えてきました。なお、ステントが使用できない股関節や膝下の細い動脈に狭窄がある場合はバイパス手術が有効です。