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乳房再建術

乳癌手術の変遷

乳がんの手術方法は、1980年頃はまだハルステッド手術(胸筋合併乳房切除)のような拡大手術が標準手術でしたが、術式の大小による予後が変わらないことから、現在では縮小手術が多く行われる傾向にあります。術式の選択についてはまずは乳房温存術を検討し、がんの広がりが大きく、温存手術が困難な場合は乳房切除術が選択されています。しかし、乳房は女性が女性らしくあるための、女性だけが持つ特別な臓器で、女性にとって乳房切除術は胸のふくらみがなくなる整容性の悪い、喪失感の大きい、精神的にも大きなダメージを与えてしまう手術です。そこで最近注目されてきたのが乳房再建手術です。

乳房再建術と当院の取り組み

乳房再建術は形成外科の手技によって、乳がんの手術で失った乳房を取り戻す手術です。乳房再建手術により胸のふくらみを取り戻すとは、女性としての自信を取り戻し、明るく前向きな人生を送るきっかけにもなります。また、これから乳がんの治療を受ける患者さんにとっては、乳がんの手術を受けても、乳房を失っても取り戻せる選択肢があるということは、つらい治療に立ち向かう勇気につながります。

これまで乳房再建手術は自家組織(患者さんのお腹や背中の組織)による再建のみが健康保険の適用であり、人工物のエキスパンダー(皮膚拡張器)やインプラントによる乳房再建の費用は実費で100万円程度かかり、乳房再建の手術を受ける患者様はさほど増えていませんでした。しかし2013年7月にエキスパンダーとインプラントが、乳がんで乳房切除術を行った患者さんに対する乳房再建に限り、健康保険の適用となり、乳がんの手術と同時に乳房の再建を行う一次再建が増えるようになりました。

エキスパンダー/インプラントを取り扱うには施設認定を受ける必要があり、施設認定を受けるには日本乳房オンコプラスティックサージェリー(JBOPS)学会の講習を受けた日本乳癌学会の専門医と日本形成外科学会の専門医の登録が必要となります。以前は、当院で乳癌に対し乳房温存手術と乳房切除術を行い、乳房再建を希望される方は再建術が可能な医療機関に紹介していました。しかし、今後このように乳房再建を希望される患者さまが増えることが予測されるため、兵庫医科大学の形成外科学講座の協力を得て、当院でも人工物(エキスパンダー/インプラント)による乳房の一次再建術を行えるよう形成外科を新設し、日本乳房オンコプラスティックサージェリー(JBOPS)学会のエキスパンダー/インプラント実施施設の認定を受けました。

乳房再建を希望する方や乳房再建がどのようなものかお知りになりたい方は、乳腺外科と形成外科の外来でご相談ください。