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ピロリ菌
ピロリ治療が必要な病気
ピロリ菌を取り除く必要のある病気は、胃炎、胃十二指腸潰瘍、早期胃癌の内視鏡治療後、胃MALTリンパ腫、胃過形成性ポリープ、機能性ディスペプシア、胃食道逆流症などです。
胃炎が進むと胃癌ができやすくなるため、胃炎の初期に治療した方が胃癌を予防できます。胃十二指腸潰瘍はピロリ菌がなくなればまず再発しません。
ピロリ菌の診断方法
ピロリ菌の有無を調べる方法には、吐いた息を調べる尿素呼気試験、便を調べる便中抗原測定法、血液を調べる抗体測定法などがあります。正確さの点で、病院では尿素呼気試験や便中抗原測定法をおこないますが、食道炎や胃十二指腸潰瘍の薬の中には、正しい結果が得られなくなる薬があり、そのような薬は検査前の2週間は休みます。
胃カメラの必要性
ピロリ菌を調べる前に、胃カメラ(内視鏡)をして胃癌ができていないことを確かめます。胃癌があると知らないままピロリ菌を取り除いても、胃癌が進んでしまうためです。また、胃カメラでピロリ菌がいないと診断できれば、治療が不要になります。
治療方法
プロトンポンプ阻害薬またはカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(ボノプラザン)と、2種類の抗菌薬を1日2回、7日間続けます。
抗菌薬は最初にアモキシシリンとクラリスロマイシンを使い、ピロリ菌が消えないと、アモキシシリンとメトロニダゾールを使います。ボノプラゾンとアモキシシリンとクラリスロマイシンでは92.6%、ボノプラゾンとアモキシシリンとメトロニダゾールでは98.0%の人でピロリ菌がいなくなります。
上記の治療法には保険が使えますが、その後もピロリ菌が残った時や、ペニシリンアレルギーがあってアモキシリンが使えない時に使う薬には保険が使えず、自費の治療となります。
治療中の注意
1日2回の服薬を忘れないで下さい。飲み忘れ防止にパック製剤を処方します。タバコは薬を効かなくし、アルコールは副作用をおこすので、禁煙、禁酒して下さい。
治療による副作用
味覚異常、舌炎、軟便、下痢、発疹などがおこることがあり、下痢の予防には整腸剤を飲んでもらいます。副作用を放置すると下痢がひどくなったり、血便になったり、全身の皮膚がただれることもあるので、再診して医師と相談して下さい。
治療効果の判定
7日間の治療が終了してから最低4週間あけて尿素呼気試験をし、ピロリ菌がいなくなったか調べます。
この時も、食道炎や胃十二指腸潰瘍の薬の中には、飲んだままでは正しい結果が得られない薬があり、そのような薬は検査まで飲まずにおきます。
治療後の注意
ピロリ菌は乳幼児期に父母などの家族からうつると言われており、いったんいなくなればピロリ菌にまたかかることは稀です。ピロリ菌がいなくなって胃炎が進まなくなれば、その分だけ胃癌になりにくくなります。
しかしピロリ菌がいなくなっても元の健康な胃に戻るわけではありません。特にかなり進んだ胃炎の場合は、ピロリ菌がいなくなったからといって安心せずに、定期的に胃カメラなどの胃がん検診をうけて下さい。