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コラム

「不整脈が原因で脳梗塞を発症」 2017年2月6日 更新

 脳卒中は日本において、がん、心臓病、肺炎に次いで死亡原因の第4位、介護が必要となる原因の第1位です。

脳卒中は血管が破れる脳出血と血管が詰まる脳梗塞に大別され、患者の4分の3が脳梗塞です。

脳梗塞には、動脈硬化によって起こるものと、心臓の病気が原因で起こるものがあります。脳梗塞の3分の1が心臓の病気が原因で起こる脳梗塞で、心原性脳梗塞といい、その多くは心房細動という不整脈の一種によって起こります。

心房細動とは、心臓の心房と呼ばれる部屋がけいれんするように小刻みに震え、規則正しく収縮と拡張が出来なくなった状態を言います。心房がけいれんすることにより、血液の流れが遅くなり、よどんで滞るため血の塊(血栓)が出来やすくなります。心臓内で大きくなった血栓がはがれて血流にのって、脳の太い血管を詰まらせ脳梗塞をおこします。

心原性脳梗塞は脳の損傷の範囲が大きく死亡率は約20%、寝たきりなど介護が必要の状態になる率は40~50%と高く、プロ野球の長嶋茂雄元巨人軍監督やサッカー日本代表のイビチャ・オシム元監督がなったことでも知られています。

心房細動の患者数は高齢化や生活習慣の欧米化に伴い増加傾向にあり、日本では約80万人、80歳以上では潜在患者も含めると10%を超えると推計されます。心房細動は加齢に伴い発症しやすく、日常生活のストレス、疲労、寝不足、飲酒、喫煙、肥満、高血圧、糖尿病、心不全、心筋梗塞、心臓弁膜症、甲状腺機能亢進症、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群などが誘発要因となります。

心房細動がある人は心房細動のない人に比べると、脳梗塞を発症する確率は約5倍高いと言われています。 心原性脳梗塞は、予兆がなく突然発症するため防ぐことが困難な病気です。

予防のためには主な原因である心房細動への対処が重要です。 心房細動は心臓が規則正しく拍動できなくなった状態のため、どきどきする、息切れ、倦怠感、めまいなどの自覚症状があらわれることがありますが、約半数の人には自覚症状がありません。健康診断の心電図などで初めて見つかるケースや突然、脳梗塞を起こしその時に初めて見つかるケースもあります。心房細動に気が付きさえすれば脳梗塞はある程度予防は可能です。

そのためには、定期健診も必要ですが、毎日の検脈がとても重要です。心房細動が起きている時に脈を触れると、強弱があったり、不規則であったりします。脈が弱くて分かりにくい事もありますので、普段から脈に触れて正常な脈を知っておくようにしましょう。

65歳以上、高血圧、糖尿病、心不全、脳梗塞の既往がある人は特に注意が必要です。

治療には血液を固まりにくくする抗凝固薬の内服が必要ですが、最近では脳出血の副作用が少なく、食事制限が不要など使いやすい新薬も登場しています。

心房細動自体を抑える治療としては、抗不整脈薬の内服や心房細動の原因となっている部分を心臓内部からカテーテルという細長い医療器具の先端を当てて焼き切る、カテーテルアブレーションという方法もあります。

心房細動が原因で発症する心原性脳梗塞の予防は、心房細動の早期発見、早期治療です。生活習慣病の改善とともに、日ごろから検脈をしてみて脈の乱れを認めた場合は、循環器内科での受診をお奨めします。

当院では、心房細動患者さん一人一人丁寧に診察し、適応があれば根治療法であるカテーテルアブレーションを積極的に行っています。

循環器内科副部長 垣下 幹夫